大阪府重症心身障害児・者を支える会主催 医療的ケアを考えるシンポジウム
  『 重症心身障害児者の地域生活を支える ― 医療と福祉の連携をさぐる ― 』
平成22年2月27日(土)開催
◆参加者からの質問と回答◆

 H22/05/11
 基調講演、シンポジストを務めてくださった
 大阪発達総合療育センター長 児玉 和夫氏 の回答をUPいたします。
 
 1、
特殊疾患療養病棟について
      (診療報酬に関連した制度なので入院、患者などの言葉を使います)
 現在国の療養病床削減の動きに対応して、姿を消す筈でしたが、平成20年の診療報酬改定でまだ存在意義がある、と認められ残りました。しかし名称は「療養」を外して特殊疾患病棟となり今回平成22年度の改定でも「特殊疾患病棟」として残っています。この病棟に入院する患者の入院料は「特殊疾患病棟入院料1または2」を算定することになります。重症心身障害児施設の場合は2に該当します。平成22年4月現在 1日につき1570点(1点は10円相当)です。基準は入院患者の8割以上が重度の肢体不自由か重度の障害者であることで、基本的には重症心身障害児施設の病棟が利用している制度です。
 この制度の意義は
 @ 定額制であること。毎日の診療で何もしなくても、逆にたくさんの医療をしても定額である1570点が支給されます。全国の重症心身障害児施設の中には、あまり医療や看護度が高くない施設、病棟もあり、そうしたところでは医療費収入が上がりません。しかし病院としての経費は必要になるので、こうした定額保証の制度は助かることになります。
 他方、多くの医療や看護を必要とする患者を多数受けていると、請求対象となる医療や看護の額は1570点をかなり上回り、この定額どまりであれば経費損が発生します。従ってそうした施設や病棟は看護基準により、医療内容により請求額が増えて行く一般病棟形態を選びます(その中でも長期入院しても入院費が下がらない「障害者施設等入院基本料」を選ぶことになります。この制度では注射、点滴、レントゲン、リハビリテーションなど必要とする診療や医療が増えれば請求も増えます。また看護基準が何段階もあり、最高は7対1看護基準(基本的に入院患者1.4人に一人の看護職員)、次いで10対1(2人に一人以上)、13対1、15対1(3人に一人以上)と看護職員配置基準が下がるにつれて入院基本料も低下していきます。また夜勤は常に看護師(准看護師を含む)2人以上がいなければなりません。
 これに対し特殊疾患病棟の看護師配置基準はかなり緩くなり、看護職員(看護師+准看護師)と看護補助者を足した数が、入院患者2人に1人以上必要ですがそのうち看護職員は5割以上でよい(入院患者4人に一人以上であればよい)、また夜勤は二人以上だが看護職員は一人でもよい(障害者施設等入院基本料算定病棟では二人とも看護職員でなければならない)となっています。要するに看護職員(看護師+准看護師)は障害者施設等入院基本料病棟では最低でも15対1(患者3名に1名以上)なのに対し、4人に一人以上で良いこと。夜勤看護師が1人でもよいこと、それ以上看護職員配置を厚くしても入院基本料は変らないこと・・・ということで看護師+准看護師の数が少ないところ、あまり必要としてないところで施設を運営していくのには都合が良い制度です。
 ただしこの制度を用いている施設や病棟の大部分は手を抜いている、とも云えません。複数病棟を持つ施設では、そのうち一つの病棟をこの特殊疾患病棟にして比較的医療看護度が少ない患者を入れ、看護職員も少なめにし、そのかわり他の病棟に濃く配置してかなり高度の医療や看護を保証する、その病棟は障害者施設等入院基本料で運営する、といった組み合わせ運営をしているところも多々あるのです。
 実際には平成20年の統計で全国の重症心身障害児施設の病棟数271に対して特殊疾患病棟で運営している病棟は51でしたから、そう多いわけではありません。
   
2、 堺市のことについて 答えるのが難しい質問です。
 重症心身障害児者の診療をどこまで深く考えるかで違ってきます。今日在宅の重症心身障害児者の方々が必要とする医療や看護のレベルは驚く程上がってきています。気管切開や呼吸器は驚かなくなりました。また肺炎にしても非常に体力がない方が肺炎になれば、高度の入院治療機能が必要になってきます。日常的な誤嚥や逆流の検査もかなり熟達した医師が必要な装置を用いて行うことになります。そうした機能は本来しっかりした病院が持つものです。今知っている限りでは、堺市にできる施設は福後福祉施設の中の一部であり、他は福祉的な部局です。50床+α程度の施設だけで重症心身障害児者の診療に責任を持つことは不可能です。そこに施設をつくったから、重症心身障害児者の問題はすべてそこで、ということにはなりません。
重症心身障害児・者をバックアップするにはかなり広域的な地域の医療と看護の機能を幅ひろく使えるようにし、いくつもの医療機関が機能を分担し、呼吸器の問題が生じればA病院、消化器はB病院といった連携が必要です。施設の医療はそうしたネットワークを使いながら適切な方針を選択していく、コーディネイトしていく、ということが基本になる必要があります。その中で得意な分野(リハビリなど)があれば、その部分を担うということになるでしょう。
堺市で市全体の医療資源を結び合わせる取組がなされているのでしょうか。それがないと重症心身障害児施設はできても活用される形での存続は難しくなります。・・と考えます。
   
 3、 大島分類から外れ、歩けるケースの重症心身障害児施設入所希望ですが、まず情報が不足しています。歩けるというのは歩き回れる、ということでしょうか。また知的な面ではどいういう状態なのでしょうか。年齢もわかりません。少なくとも身体障害者手帳で移動面が1・2級、療育手帳A判定であることが前提になるので、まず重症心身障害児施設利用は不可能でしょう。良いか悪いかの問題ではなく、重症心身障害児施設の入所基準がそうなっているのでやむを得ません。ただし、金剛コロニーのところに出来た大阪府の事業団運営の「すこやか」では歩ける方がかなりおられます。知的には重度障害で自閉症でもある方が多数ですが、そこの入所基準は通常の重症心身障害児施設入所基準とはかなり異なっていることになります。要するに行政が重度重複障害相当と認定して可能にしたわけで、これは一般的な基準からは相当外れた決定でした。その点については府の行政がしたことで私は何も云えません。もしお住まいの自治体が重症心身障害相当で施設入所相当という判定をするのであれば、形式的には可能になるでしょう。ただし、フェニックス発足時は大阪市もフェニックスもそのような判断はせず、あくまで定義通りにしてきました。またフェニックスであれば入所の全員が歩けない方で、大部分は寝たきりの方々です。狭い施設ですので逆に歩き回る方だと共存がむずかしくなります。
 古くて比較的大きな施設の中には、かつては基準がゆるやかだったころに入所された歩ける方が相当数いるところもあります。もし重度の知的障害があり、かつ歩行も不安定であれば、そうした施設のいくつかは(空きがあればの話しですが)対応してくれるかもしれません。ただしそうした施設の多くでは透析対応は難しいでしょう。
 これ以上は、情報が不足しているためお答えができません。お許し下さい。
 
 H22/04/28
 シンポジストを務めてくださった
 大阪府議会議員 理学療法士 長野 聖氏 の回答をUPいたします。
 
 1、
新しい地域生活支援システム整備事業のサービスパッケージは誰がコーディネート、調整するのですか、相談に応じるのはどこですか?(市町村委託相談支援事業所ですか?)
【回答】 ○ コーディネートは、原則としては拠点施設として指定する重症心身障がい児施設が実施する形で制度設計しています。但し、最終決定は、圏域内の市とも相談の上、適切にコーディネートできる機関を設定する予定。
   
2、 「医療的ケアが必要な障がい児等の地域生活支援システム整備事業」について2箇所とはどこですか?重症心身障害児施設が指定を受けてするなら枚方市(北河内)と富田林市(南河内)しかありませんが・・・それとも普通の社会福祉法人でも立候補したら指定してもらえる可能性がありますか?
【回答】  ○ 重症心身障がい児の看護、介護に実績、ノウハウがある枚方療育園を予定している。
南河内については、現在調整中ですが、重症心身障がい児施設にお願いすることとしています。
   
 3、 「医療的ケアが必要な障がい児等の地域生活支援システム整備事業」について、拠点施設(府内6圏域に1ヶ所設置)とありますが「長期入院児退院促進等支援事業」及び「在宅高度医療児支援ネットワーク構築事業」との違いはどこにありますか?
【回答】 ○ 長期入院児退院促進等支援事業とは、府内で長期入院児を多く抱える5つの基幹病院に、退院支援を専門に行うコーディネーターを複数配置し、保健所を中心とする地域の関係機関と密接な連携を図りつつ、在宅支援に向けたコーディネートを実施するものです。
 
   ※  事業期間
     平成21年度〜23年度の3ヵ年事業(ふるさと雇用再生基金事業を活用)
   ※  コーディネーター配置病院
    府立母子保健総合医療センター、大阪市立総合医療センター、愛仁会高槻病院、淀川キリスト教病院、愛染橋病院 計5病院
   ※  コーディネーターの活動内容等
   
 ・ 長期入院児への退院支援として、家族に医療的ケアの方法等を実技指導。
 ・ 退院後、家庭で安心して生活が送れるよう、地域医療機関や診療所、訪問看護ステーション、児童デイサービスを訪問し、連携方策について意見交換等を行うことにより、地域生活を支えるネットワークを構築。
  ○ 在宅高度医療児支援ネットワーク構築事業とは、長期入院児の在宅支援を推進するため、府内4ブロックごとの保健所を中心に、地域における関係機関相互のネットワークによる受け皿の整備を図るもので、小児への参入が少ない訪問看護ステーションをはじめ、市町村や支援学校など、地域の関係機関職員に対する研修事業を通じ、技術面のみならず、顔の見える関係を構築していこうとするものです。
 
   ※  事業期間
     平成21年度〜22年度の2ヵ年事業(全額国庫事業)
   ※  活動内容
   
 ・  府内4ブロック毎の保健所を中心に地域実情に合わせて、訪問看護ステーションや保健センター等の関係職員を対象に、小児看護に関する研修(講義・事例研修等)を実施。
  ○ 「医療的ケアが必要な障がい児等の地域生活支援システム整備事業」では、上記の「在宅高度医療児支援ネットワーク構築事業」で研修を受けた訪問看護ステーションのスタッフをはじめ、ホームヘルパーや短期入所事業所のスタッフを対象に、重症心身障がい児施設において、実技を主体にした研修を実施するものです。
また、退院後の地域生活支援のために、長期入院児退院促進等支援事業で配置されているコーディネーターと拠点施設が連携し、家庭での看護や介護サービスが一体的に提供できるネットワークの構築に努めたいと考えています。
   
 4、 府の自立支援協議会に医療的ケアプロジェクトが設置されましたが、今後の動きを教えてください。今日のシンポジウムを主催した大阪府重症心身障害児者を支える会から当事者家族メンバーを入れて、直接、声を反映させてもらえるような形にはしていただけないものでしょうか?
 【回答】 ○ 療的ケアプロジェクトについては、平成22年度に「重症心身障がい者のための地域生活の場の確保方策」を検討することとしており、現在、検討委員の選定を行っているところです。検討委員が決定次第、5月には検討会を立ち上げる予定です。
  ○ 当事者の声も必要なことから、当事者家族の代表も含めることとしています。
   
 5、 生活介護事業所が、医療的ケアが必要な人の通所を受付け、さらに看護師を常勤配置した場合の補助を府で考えてもらえないでしょうか?
 【回答】  ○ 生活介護事業所については、国が定める指定基準(最低基準)により、1人以上の配置が必要となっています。なお、事業に要する人件費、事業費については、国の自立支援給付として報酬基準が定められていることから、この報酬基準により事業者は事業運営をすることとなることから、府が国の報酬に上積補助する考えはありません。
  ○ 但し、国の報酬基準が実態の即していないということであれば、府としては、国に対して報酬基準の改善を働きかけることとなりますが、昨年4月に国が報酬を改定(平均5.1%増)したことから、国において、報酬改定の効果等が検証されているところである。
   
6、 ヘルパー事業所向けの医療的ケア研修を府で考えていただけないでしょうか。
 【回答】 ○ 医療的ケアは、法律で医療従事者(医師、看護師等)でないと行えないこととなっている。このため、福祉従事者(ヘルパー等)が医療的ケアを行うことは、法律違反となることから医療的ケアの研修を行うことは困難と考えている。
   
7、 超重症児が訪問看護を利用する場合、3割の医療費負担をしています。在宅の場で看護師は絶対に必要なのに障害者医療証が使えません。これはなぜですか?
 【回答】 ○ 在宅の重症心身障がい児(者)が訪問看護ステーションの訪問看護を利用した場合、大阪府では、市町村を通じて自己負担額が1割相当額となるよう助成する「重度障がい者訪問看護利用料助成事業」を実施しています。
  ○ なお、訪問看護ステーションの訪問看護については、「療養費」という位置付けであることから、医療費助成の対象となっていません。
   
8、 老人ホームでの看護師指導のもとでヘルパーが吸引を行う方向で進められているとのことですが、在宅のヘルパーに関してはまだ何も考えられていないのでしょうか?
実際に在宅のヘルパーは吸引等を行っています。行わなければ困る(生きていけない)方が多くおられます。それがヘルパーの責任のもとで(何か事故が起こればヘルパー自身の生活が奪われる実態です)行われている事をご存知かと思いますがどう思われるでしょうか?
 【回答】 ○ 医療的ケアについては、主治医の指示のもと、保護者若しくは訪問看護師が行うこととなっています。
  ○ ホームヘルパーが保護者の願いを受けて、保護者とヘルパー個人の契約のもとでたん吸引等が行われている場合があることは認識しているが、本来、訪問看護師が担当するべきものと考えている。
   
9、 「拠点施設を福祉圏域に1ヶ所設置」とありましたが、これを具体的にご説明下さい。福祉圏域というのは8ッでしょうか。ここに重症心身障害児施設等の施設が設置されるということでしょうか。
 【回答】 ○ 福祉圏域とは、政令市(大阪市、堺市)を除く府内市町村を6箇所に区分し、
・北河内圏域 ・南河内圏域 ・豊能圏域 ・三島圏域 ・中河内圏域 ・泉州圏域
  各圏域ごとに、既存の重症心身障がい児施設や地域医療機関の協力を得て、「拠点施設事業」としての業務を担ってもらうもの。新たに施設を設置するものでは有りません
   
   
★下記資料は「PDF形式」で提供しています。ファイルを開くためには「アドビ・リーダー」が必要です。 お持ちでない方は、アドビ社のウェブサイトからダウンロード(無料)してください(右のアイコンをクリック)   
   【在宅医療児】ネットワーク事業研修一覧
   【在宅医療児】取組状況
 
 H22/04/26
 シンポジストを務めてくださった
 大阪府立母子保健総合医療センター 地域医療連携室 コーディネーター 石崎 文氏 の回答をUPいたします。
 
 1、
在宅でのケースを検討し、各種サービス・家族の支援等にはコーディネートやケアマネージメントする立場の人が必要ではないか(保健と福祉・医療等生活をつなぐ人)
【回答】 この質問に対して、私の意見としてコーディネーターという立場は必要だと感じています。
在宅で医療的ケアの必要な子どもさんと家族にとって、どんな支援をしていけば、ほっとした時間や、ケアに余裕が出来ること、また家族ともいい時間が持てるようにしてあげられるのか?地域の関係機関と調整する、トータルコーディネーターという立場が必要だとおもいます。トータルコーディネーターという立場で、生活・医療・福祉の調整が必要と思いました。
今後、コーディネートをマネジメント出来る立場の人が必要とは思いますが、各関係機関との連携をはかるためには、権限と役割を明確にしておかないとできないとおもいます。
   
2、 地域での組織としては、自立支援協議会の活用は考えられないか
【回答】   申し訳ありませんが、私には自立支援協議会の役割が充分に理解出来ていません。
しかし、先日、国立和歌山病院の地域医療連携室のケースワーカーの方より和歌山市のある地域の自立支援協議会の活動について教えていただきました。
堺市南区においては、障害者自立支援協議会が6月に開催され、傍聴できるとネットで公開されていました。今後は地域に根差した活動をしようと思っており、ぜひ傍聴し、そして活用してゆけるようにと思っています。
   
 3、 トータルコーディネーターのつぶやき、まったく同感です
働いている人には休日もあり交代もありますが在宅介護の母親には休みがありません。
本人のQOLは語られますが、介護者のQOL(基本的人権とでもいうのでしょうか)は日中活動(学校や通所)、ショートスティがあればまだましですが、まったくない場合は訪問看護が長時間入るか非医療職の人でも医療的ケアができるようにして母親を介護から全く離す時間がないと悲惨です。
当事者で声を上げられる人は少なく、声を上げれる人はまだ余裕があるか使命感を持っている人です。
コーディネーターが見てきたこと、感じていること、こうあったらいいと思うことを発信することが、求められていると思いますが、いかがでしょうか?
【回答】  地域によって高度在宅医療の子どもさんへのサービスの違いがあります。できるだけ、家族とともに支えている人々が声をあげ、効果のあるサービス作り上げるために意見を発信していくことが大切とおもいます。
また、私たち医療者も家族の大変さを共有できるよう、また地域と連携、家族の大変さを理解し、援助方法を検討しなければと思います。そのためには家族が発信できやすい環境を作る工夫も必要だと考えます。
   
 4、 地域のキーパーソンは作る必要がある(必ずしも保健師、訪問看護師がよいとは限らない)
 【回答】 地域のキーパーソンは絶対に必要とおもいます。地域の実情をよく熟知されている事や家庭訪問が業務の一部にあるため、保健師がいいのではないかと思います。高度在宅医療の必要な子どもさんを地域で支えていくのには、医療的なケアを担っている訪問看護師もキーパーソンになっていただけるのではと考えます。
   
 5、  地域のキーパーソンは?について、高齢者の介護保険との関係で「地域包括支援センター」の活用は考えられないのか(実際取り組んだ例はあるのでしょうか?)。現在は、忙しくて、なかなか手をつけてもらえないかと思うが、社会福祉士、保健師、ケアマネージャーが配置されており、本来、地域に根付いた支援が期待されていると思います。
 【回答】   実際には活用した経験はありません。
老人介護においては地域包括支援センターが中心になって支援体制をととのえていますが、在宅高度医療の子どもさんを支えるシステムを整えていくことが急務だとおもいます。滋賀県や兵庫県の高度医療の必要な子どもさんを支えるために地域をブロックに分け、トータルでコーディネートを行っているようですね。大阪府においても、どこかでトータルで相談できる窓口が必要とおもいます。事例ごとに病院の医療相談室のケースワーカーが保健師、訪問看護師に相談し決めていく方法もいいのですが、そのためには担当者の力量や地域でのサービスの違い等があります。そのためにも地域の実情や医療、福祉においていろんな角度から検討でき、適切なアドバイスができる窓口はぜひ必要だとおもいます。
   
6、  重心の方でも中には進行を受け入れたくない家族や、現状を問題視されていない家族もいます。病院と家族の間に私たち福祉職が入っていきたいものの具体的にどうつなげていけるのか、案はありますか?
 【回答】  難病や重症の病気のため、高度医療がなければ支えてくることが出来なかった大切なわが子、在宅で家族といっしょに生活していこうと決めたても、まずは病院に相談してからと考える家族がほとんどだと思います。地域の生活をしていく中で、同じ病気や境遇の家族と支えてあっていく中で、地域でサポートしてくれる福祉の方々ともつながっていくと思います。また、私たち医療職、とくに病院で働くものは地域の実情を知る努力と、地域にお願いする姿勢がもう少し謙虚であるべきと思います。
   
7、  重症児者の方でも中には進行を受け入れたくない家族や、現状を問題視されていない家族もいます。病院と家族の間に私達福祉職が入って行きたいもののなかなか困難です(力関係が病院(この中に入っていればナース、介護福祉士も力はある)>家庭>福祉施設)。具体的にどう繋げていけるのか。案はありますか?
 【回答】  医療がなくては健康に地域で生活していくことが困難な重症児者や家族は病院を頼らざるを得ないのです。そのため、病院が優位のように映るのだとおもいます。そこを福祉職の方にはわかっていただきたいのです。
そんな重症児者の方や家族も地域での生活が落ち着いてくると、もっと生活の質を考えたり、こどもさんが楽しく過ごしている状況をみることによって、もっともっと何かできるのでは?福祉のほうに相談していくのでは?と思っています。
お互いに重症児者の現在おかれている状況を理解しあい、求めておられる支援を考えていけるようにしたいと思っています。
 
 
 H22/04/20
 シンポジストを務めてくださった
 社会福祉法人向陵会乙訓ひまわり園 統括施設長 尾瀬順次氏の回答をUPいたします。
 
     尾瀬氏への質問
   
地域での広い取組みに敬意を表します
ありがとうございます。まだまだ限られた形でしか取り組めていない部分も多いです。全国各地の実践に学びながら、これからもできる限りがんばっていきたいと思います。
1. そのような医療的ケアの必要な方を受け入れるに際しての市町村からの(府の件は紹介されましたので)補助
(単独加算)はどうなっていますか?
@そのあたりの有無 Aあるとすればどのような制度か
 いわゆる「医療的ケア」が必要な人を受け入れるための「手だて」に特化したような市町の単費加算というものはありませんが、乙訓2市1町(向日市・長岡京市・大山崎町)では、「運営補助」という形で一定のルールによる単費補助が、圏域内の各事業所に対して出されています。もともとは旧法(措置)時代に障がいが重い人の受け入れに対する補助としてスタートしました(身障1・2級+療育Aで措置費単価の+50%、療育Aのみで+25%)が、その後支援費〜自立支援法と制度変更にあわせ、一定重度の方の受け入れに対しては国の制度としても反映されるようになった、ということと地方財政悪化という理由から、今後廃止の方向で、現在は一律16,000円/人・月を今後年々減らしていき、最終的には0にする逓減措置がとられています。
   Bそんな制度を作るにあたっての自立支援協議会の役割
乙訓の自立支援協議会は発足後3年を経過しましたが、そこでの協議内容が具体的な事業につながったケースはいくつかあるものの、現段階では市町や府の制度創設に直接つながったようなケースは無いとは思います。しかし、シンポジウムで紹介した京都府の新規事業に関しても、府下各圏域の課題とりまとめの中で医療的ケアに関する項目が複数あがってきたことがきっかけにはなっていると思いますし、今後より具体的な対応策の協議の中で、制度を含め行政として「医療的ケア」が必要な人への支援に対してどのような動きがとれるのか(とるべきなのか)引き続き検討を求めていきたいと思っています。
  2.  京都、大阪で医療保険で訪問看護を使えないという話がありましたが、そのあたりもう少し詳しく教えてください。働きかけた結果、京都は変わりそうですか?
介護保険や小児慢性特定疾患、難病等、制度で訪問看護が利用できない人の場合、医療保険による利用となり3割負担が発生する(なおかつ利用に上限がある)のですが、通常外来での通院等には自己負担に対して福祉医療が適用され自己負担なしで診療を受けられるが、訪問看護には福祉医療が適用されないことで、なかなか利用が広がらないということが課題としてあがってきています。その理由について訪問看護は「治療目的」というよりは在宅療養や生活支援の意味合いが強いから、というのが行政側の言い分ですが、一方で7割には医療保険が適用されているのだから当然残り3割には福祉医療が適用されるべきでは、との意見もあります。実際に全国的には適用できる都道府県がほとんどで、適用されないのが近畿の2府2県(京都、大阪、兵庫と和歌山だったと思いますが…)のみということも自立支援協議会の協議の中で明らかになりました。そこでの議論もふまえた形で、乙訓2市1町から京都府へ訪問看護も福祉医療の適用可とするように要望を上げるという動きにつながりました。その結果がどうなるか…まだ見えませんが、少なくとも京都府も「課題」としての認識は持っていると思います。
 
  3. (私はSTです)
乙訓ひまわり園のデイ(生活介護・B型通園)を実施する職員の中に、PTの参加と花の木医療センターから療育支援事業としてつきに3回OT・STが参加されているということですが、リハビリテーション職はどのような支援を行っておられるのか具体的に教えてください。また、事業所が望んでおられるリハ支援というものがあれば教えてください。
●  PTについては今年度より1名雇用することになりました。通所利用されているかたの日常的なリハの実施や姿勢の問題、座位保持や補装具作成に関するアドバイスなどを今後期待しています。また、療育等支援事業により圏域内の生活介護事業所等への派遣を行い、それぞれの利用者や職員へのリハ指導・支援を展開したいと考えています。
OT、STについては引き続き花の木より派遣を受けることになります。いずれの職種についても、特にリハを実施するためにということよりも、日常的な生活・活動の中でのリハ的な視点をもって工夫を行うことにより、利用者がより安楽・快適に過ごせる状況をいかに作り出せるか、という部分に専門職としてのかかわりをもっていただけるとありがたいと思っています。

 以上、不十分かと思いますが、回答とさせていただきます。
 また、何かありましたらメール等でお尋ねください。

                        乙訓ひまわり園 尾瀬 
 
 H22/04/15
 コーディネーターを務めてくださった
 NPO法人地域ケアさぽーと研究所 理事 下川和弘氏の回答をUPいたします。
 
 1、  東京都立の一部の特別支援学校では、いまだに親が学校に待機し、医療的ケアを親がしています。以前は教員が医療的ケアをしてくれていたのに管理職が変わったらしてくれなくなったとか。その為、多くの子供達が通学できずにいます。日本の中心でありながらどうしてこうゆう状況なのでしょうか。また、東京都の姿は大阪もいずれそうゆう方向に行くのではと不安に思います。
【回答】  確かに、東京都立の特別支援学校でも、いまだに保護者の付添が行われている学校もあります。2004年9月17日に厚生労働省設置の「盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の医学的・法律学的整理に関するとりまとめ」が出されて、看護師の適切な配置の元で一定程度の医療的ケアの対応が正式に教員に認められました。一方で、看護師にしか認められないケアもかなりあります。そうしたケアへの対応のために、東京都ではこれまで配置されていた常勤看護師の他に、2006年度から予算額9600万円でかなりの人数の非常勤看護師が配置されました。
 これとは別に、教員が同じ学校で勤務できる年数が6年に短縮になり、更に異動時には他種別の特別支援学校も経験するように教員の異動の制度が変わりました。特別支援教育として従来の障害種別の専門性より、広く横断的な知識・技術を身につけることが教員に要求されるようになりました。非常勤看護師の配置は、より深く専門的な知識・技術力を学校として担保するための手段とも言えます。
 東京の取り組みは、他県への波及効果の力が強いので、他県への影響がないとは言えません。しかし、医療的ケアの種類や濃厚さ、人数、さらに医療機関など地域資源の状況、それまでの歴史背景など、地域によって異なります。関西圏でも県によって取り組みはかなり異なります。そうした差異も認めながら、子どもとたちがよりよい学校生活を送れるように、地域の関係者で考えて、地域にあった方法で取り組んでいただければと思います。
   
2、  特別支援学校に通う、医療的ケアを必要とするお子さんが、体調を崩し入院、呼吸器の装着が必要となりました。現在、退院し自宅で療養中です。学校では現在、呼吸器装着に対して体制が整っていませんが、彼の学校通学再開に向け、学校と福祉、医療がどのように連携し支えていく事ができるかヒント又は事例があれば教えて下さい。
 3、  医療的ケア児の豊かな地域生活に向け、在学中からできる福祉や医療との連携には、どのようなことがあるか教えて下さい。
【回答】   2つの質問には共通点がありますので、回答は一つにします。
 質問の中にあります「学校と福祉、医療がどのように連携」するかがポイントですね。地域の中で、医療、福祉・保健、教育などの機関がどのように子どもたちの生活をサポートできるかお互いのサービスを調整する場が必要です。介護保険ではケアマネージャーがいますが、障害福祉では今のところ問題に気がついた人が調整役(コーディネーター)をみつけて相談を開始するしかありません。
 いろいろな相談機関や相談の形があります。例えば、地域の中には、障害者自立支援法の「相談支援事業」もあります。必ずしも重症心身障害児の支援ノウハウがあるかどうかは分かりませんが、いろいろと相談にのってくれると思います。その他、地域療育等支援事業というのもあります。これは事業開始当初は国の事業でしたが、現在は都道府県が実施主体です。この事業は、「在宅の重症心身障害児(者)、知的障害児(者)、身体障害児(者)及びその家族に、療育指導相談等を受ける機会を提供し、地域において充実した社会生活を営むことができるよう支援すること」を目的としています。重症心身障害児施設が拠点施設になっている場合、コーディネーターや看護師、PTなど必要なスタッフが、地域の施設に出向いて職員等への相談や実際の支援などしていただける事業です。地元の「地域療育等支援事業」の指定を受けている機関に申込が必要です。「地域療育等支援事業」とお住まいの都道府県名をインターネットで検索すれば、地元の事業所がすぐにわかると思います。
 この他、学校が主体になるのであれば、「個別の教育支援計画」にもとづく支援会議の開催というやり方もあります。「個別の教育支援計画」は、「障害のある児童生徒の一人一人のニーズを正確に把握し、教育の視点から適切に対応していくという考えの下、長期的な視点で乳幼児期から学校卒業後までを通じて一貫して的確な教育的支援を行うこと」を目的としています。また、「教育のみならず、福祉、医療、労働等の様々な側面からの取組が必要であり、関係機関、関係部局の密接な連携協力を確保することが不可欠」とあるように、多機関の連携の手段になると思います。
 「人工呼吸器に対しての体制」と言っても、お子さんの一般状態は多様ですし、必要なケアの種類や難易度も異なります。情報を共有し合いながら、支援内容を調整できると良いと思います。
   
 4、  私が働いているのは社会福祉法人で病院併設ではなく、重心の方を受けるにあたり問題が多く上がってきています。現在通われてきている方に機能訓練などに期待を持っている方が多く、生活の潤いを目的としている私たちとの差が見えてきています。支援学校、病院と連携をとっていくことが大切ですが、施設(生活介護)を選ぶ環境をどう提供されていますか?
 【回答】  学校でも同じような課題があります。例えば、ある政令指定都市の特別支援学校にはPTが配置されていて、「自立活動」の時間にPTが指導する日があるのですが、PTの都合が悪くて指導が無くなることがわかると、自分のお子さんも学校をお休みさせてしまうという保護者がいたそうです。また、看護師配置が進む中でしばしば学校関係者から聞かれるのは、保護者から「今日はちょっと熱がありますが、登校させます」と体調の良くない状態のお子さんを学校に通学させる例です。これらは、PTや看護師配置にともなって、特別支援学校を医療機関と混同されている事例だと考えます。
 障害の重い方のための重症心身障害児施設は、福祉施設でもあり医療施設でもあります。それは重症心身障害児者の方々には、医療も福祉も必要というニーズ面を考慮したものであり、日本独自の良い制度だと思います。障害者自立支援法は、医療(療養介護)と生活介護に分けてしまっていますが、重症心身障害児者は、医療と生活の豊かさという二つの面を同時に必要とする方々です。しかし、重症心身障害者の通園事業には限りがありますので、生活介護事業所にも医療ニーズのある方が通われている現実があります。そのために人員面では、看護師やPTなど医療職の配置や医師との連携が大切になります。そうした職員の配置に自治体が助成を行っているところがあります(以下の表を参照)。障害者自立支援法が今後大きく代わり、障害種別ではなくニーズにもとづく制度になっていき、抜本的に変わるかも知れません。
 その一方で、先に述べたように学校も生活介護事業所も医療機関になるわけではありません。目指すところは、どんなに障害が重くても人として「自己実現」を目指していく、教育も福祉もそうした人を支援していく活動であることを押さえておきたいと思います。利用者やご家族の方々に、そうした理念を理解いただけるように取り組んでいく必要があります。
   
 
 年  自治体名  内容
 2003年  長野県  障害児・者施設訪問看護サービス事業補助金 ○予算額1,967万4千円
市町村が、通所授産施設や共同作業所等に通う医療的ケアを必要とする障害児者の訪問看護ステーションの利用料を負担した場合に、補助します
 2004年
10月
 静岡県  在宅重症心身障害児(者)等利用施設医療支援事業 ○予算額36,500千円
○内容:医療ケアが必要な在宅重症心身障害児(者)が利用する施設に看護師の配置を促進 ・看護師の人件費63ヶ所 ・補助率1/2 ・実施主体 市町村
 2005年  北海道  重度障害者医療的ケア等支援事業費      ○予算 62,228千円
・医療的ケア支援事業:居宅以外への看護師の派遣 看護師専門研修
・重介護ディサービス支援事業:重度障害者を受け入れる事業所に職員を加配
  2005年 磐田市(静岡県) 磐田市在宅重症心身障害児・者等利用施設医療支援事業
日常的に医療的ケアを必要とする在宅重症心身障害児・者等が利用する通園施設等において医療的ケアを行う看護師の配置を促進し、重症児等の地域生活を支援することを目的とする。
 実施施設は、次に掲げるもののうち、1人以上の重症児等が通年にわたり利用することが見込まれる通園施設等であって、市長が認めたものとする。
(1) 知的障害児通園施設
(2) 心身障害児通園施設(児童デイサービス事業所)
(3) 重度障害児(者)生活訓練ホーム
(4) 知的障害者通所更生施設
(5) 知的障害者通所授産施設
(6) 知的障害者デイサービスセンター(知的障害者デイサービス事業所)
(7) 身体障害者通所授産施設   
(8) 身体障害者デイサービスセンター(身体障害者デイサービス事業所)
(9) 心身障害者小規模授産所
 2005年  千葉県 重度・重複障害者等グループホーム運営事業補助 ○予算額 7,094千円
○内容 重度・重複障害者等の地域生活を支援するため、新たに医療的ケアが必要な方や常時日常的なケアが必要な重度・重複障害者が生活できるグループホームの運営を補助する。
 2005年  滋賀県  滋賀県重度障害児(者)訪問看護利用助成事業
○当該事業の対象者:当該事業の対象者は、経管栄養、たんの吸引、気管カニューレの管理等の医療行為を常時必要とする重度障害児(者)であって、いずれかに該当するものとする。 (1)校長から、訪問教育による教育対応を行うことを決定された児童等。 (2)看護師配置のない通所授産施設や共同作業所を利用している常時医療的ケアを必要とする重度障害者。
 2005年
10月26日
 調布市(東京都)  調布市医療的ケアモデル事業実施要綱
デイセンターまなびや…(身体障害者デイサービス事業)において,…吸引,吸入又は経管栄養の試行実施について必要な事項を定めることにより,当該者が地域での豊かな生活を維持し,もって重複障害者の健康の維持及び福祉の増進を図ること
 2006年  東京都  重症心身障害児通所委託(地域施設活用型)の創設【新規】
身体障害や知的障害の通所施設等を活用して通所サービスを提供するとともに、施設職員への療育技術の指導等を実施します。
 2006年  町田市(東京都)  町田市医療的ケア受け入れに関するマニュアル
市内福祉施設に医療的ケアが必要な者を受入れる際の基本的な考え方を定め、施設を利用することにより日々の生活の充実を図ることを目的に策定。
 2008年  沼田市
(群馬県)
 沼田市医療的ケア支援事業
看護師が配置されていない通所施設、作業所、保育園、学校等への看護師派遣の助成(自己負担あり)
2009年  堺市  (大阪府) 障害者生活介護事業所機能強化事業 ○予算額 15,000千円
○内容 医療的ケアを必要とする重症心身障害者への支援体制の拡充を図るため、生活介護事業所における看護師の配置に要する経費の一部を補助